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最高裁判所大法廷 昭和26年(あ)853号 判決 1954年11月24日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人荒谷昇の上告趣意第一点乃至第三点は、事実誤認、これを前提とする法令違反、単なる訴訟法違反の主張を出でないものであって、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(貸金業等の取締に関する法律二条一項にいう「貸金業」とは、反覆継続の意思をもって金銭の貸付又は金銭の貸借の媒介をする行為をすれば足り、必ずしも報酬若しくは利益を得る意思又はこれを得た事実を必要としないと解するを相当とする。)

同第四点は、違憲を主張するが、貸金業等の取締に関する法律三条によれば、何人でも同条の届出をすれば、自由に貸金業を行うことができるのであって、従って、右届出を怠って貸金業を営んだ者が、これが為同法の罰則の適用を受けるに至るとしても、これをもって、所論のごとく職業選択の自由を不当に圧迫するものということはできない。それ故、論旨は採用することができない。

なお記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって刑訴四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中耕太郎 裁判官 井上 登 裁判官 栗山 茂 裁判官 真野 毅 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎 裁判官 入江俊郎 裁判官 池田克)

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